ながのアートプロジェクト2010

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2011年08月17日

中学生の「自己開示」的表現の始まり
とがびアートプロジェクトが2004年に始まり、7回も続けることができた。その要因は何と言っても「中学生がとがびを求めている」という事実だろう。それは、中学生の求める物すらも受け容れるアートの奥深さなのかもしれないが、様々な世の中の遊びやスポーツなどに満たされない中学生の心の中を満たすほどのアートへの期待があるようにも思う。
 今までのとがびと、今年のとがびの違ってきたものは何か。それは、過去のとがびでの中学生作品が、面白いことをやろう、やってみたいという作品制作を中心とする世界であったことに対し、今年のとがびは、自分を自分で肯定するための自己開示であったように感じる。より中学生の考えている世界や思い、言葉にできないいらだちや苦痛、憧れや夢などを形にした表現が多かったように思う。したがって、単に意味不明な世界を作るのでもなく、かといって雄弁に自分を主張しているのでもない、どこかこぢんまりとしつつ、しかも大人から見てどこか共感できるような作品が多かったように感じる。中学生が求めるアートというものが変化してきたと考えられるし、中学生自体がこの7年間で変化してきたとも考えられるだろう。
 上と同じ事はさくらびアートプロジェクトでも言える。ますます「異人化」した中学校の集団の中で、中学生たちは、お互いのコミュニケーションを模索しつつ自分自身を探っている。そして、益々中学校は保守化・予定調和的になっており、中学生の求めている物と学校が求めているものとの差異が大きくなっている。そんな差異を埋め、学校を生き生きとさせる機能として「アートプロジェクト」はもっと注目されるべきだろう。今後、とがび・さくらび型アートプロジェクトは中学生にとって必要感が増してくるような気がしてならない。中学生が自分を表現するための武器として「アート」を選ぶという、新しい時代が始まるかもしれない。


とがび・さくらび型アートプロジェクトの可能性
とがびやさくらびは、一見ワークショップに似ているが、いわゆるワークショップではない。ワークショップは、ある技能を持った人が、技能を持っていない人に対して、技能を教えるものだ。一方、とがび・さくらび型のアートプロジェクトは「技能を持った大人と技能を持たない人が、全く新しい何かを創り出す」ということなのではないだろうか。とがび・さくらびは、中学生が大人のお手伝いをするのではなく、そこに新しい空間、作品、つながり・・・などを創り出していると思う。そこにクリエイティブが生まれているように思う。この形は今後も進めていきたいと思う。


京都造形芸術大学の参加
今年も武蔵野美術大学を中心に、信州大学の学生がプロジェクトに協力してくれた。武蔵野美術大学では、三澤教授の援助により、何人もの学生が長野へ来て下さった。
とがび卒業生の小林君は、4月より京都造形芸術大学の学生となり、福のり子先生他先生方を連れてとがびに参加した。とがびの作品をモチーフに本格的な対話型鑑賞を実践することができたことは、とがびの可能性を広げることに貢献した。来年以降の連携が楽しみである。


「廊下アートセンター」の意味
とがび2010で「廊下アートセンター」が公開された。中学校の公共スペースに突如登場した「アートセンター」。学校の生徒や保護者、地域の住民には大変好評であったが、教師の中では賛否両論であった。「コーヒーはだめだがお茶なら出しても良い」「生徒のたまり場になりはしないか」「なくしたほうがよい」と、反発が多かった。その後、生徒内のいわゆる「熱狂的な流行」は去り、本当に必要としている行き場のない生徒たちが、時々集うスペースとなっている。この「廊下アートセンター」は、学校の空きスペース活用を考えている千葉大学に大変好評で、11月の千葉県で行われたwicanの発表に繋がっていった。今後、中学校に一つの選択肢としてアートセンターやアートカフェが登場するかもしれないという期待をさせるものであった。
 廊下アートセンターは、純粋にアートであったと思う。アートは社会や生活空間の見えない課題や問題を顕在化させる役割があるとしたら、まさに「廊下アートセンター」は、学校に行き場がない生徒というものを顕在化し、学校に今何が必要なのかを顕在化させているからだ。そういった意味で、ますます廊下アートセンターの活動は、今後益々大きな意味を持って行くに違いない。


FM長野への出演
信州大学繊維学部の真島君の紹介により、10月にFM長野「グッドモーニングレディオ」に一ヶ月間出演することができた。ラジオの宣伝効果は大きく、反響が多かった。


県外への情報発信
一月の沖縄でのシンポジウム参加に始まり、今年は全国で活動を紹介する機会が増えた。岡山、東京、六本木、千葉、静岡、長野、京都など自分たちの活動を伝える事が増え、特に大学美術教育学会では、メインテーマに掲げられ、全国の大学教授の話題となったことはとても嬉しかった。
 2011年も、アサヒアートフェスティバルへの参加が決定した。ブログ「とがびアート・プロジェクト」も毎日平均2000件のアクセスがあり、開設5年間で260万件を突破した。今後もアートを通した中学生の良い情報を全国に発信し続けていきたい。

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